遠い時間からの返信 - 高岡修 『風の彫像』を探して- [古本-詩]
ふじたふう詩集、 詩集・1971 にアップする原稿を求めて、古いスクラップブックや
下書きノート、詩の古雑誌を かき回していると、長文の手紙を見つけた。
鹿児島の高岡 修さんからのふじた宛、返信である。
1970年1月の日付、便箋5枚に及ぶ、詩についての熱い思いをつづった書簡。
遠い記憶をたどる・・。
「詩学」だ。
1969年・昭和44年、「詩学」10・11合併号
研究会作品という投稿欄に選ばれて載っていた詩。
-------------------------------------------------
時には暗い方へ暗い方へと過酷なほどに僕
等を急き立てている 昨日の夕暮れにも耐
まりかねて石をひとつずつ丹念に投げ上げ
ていたのだが時々落ちてこぬ石があった
--------------------------------------
こういう冒頭で始まる長い散文詩。 『風の彫像』
この号には私も投稿していて、作品は掲載されなかったが選者の得点表では、
高岡 修さんのすぐそばの欄に名前が載っていた。
(詩学の投稿欄はこの時代、吉野弘、新川和江、嵯峨信之ら五人の選者の合評形式で
作品に対する選者ごとの評価点と、個人の合計得点による順位が表で示されていた)
『風の彫像』が高岡さんに手紙を出す第一のきっかけであったことは確かだが、
私はこの詩の前に、すでに高岡さんの詩を読んでいて、高岡さんの名も知っていたのだ。
「きざはし」
鹿児島工業高等専門学校 文芸部発行の小冊子が
秋田の私の学校の図書館にあって、この中で、
高岡修の詩が、かがやいているのを発見していたのだ。
詩学で『風の彫像』を読む半年ほどまえであろうか。
そして「詩学」。
遭遇した!
高岡 修を見つけた!
彼の存在に驚いて、恋人にラブレターを書くような思いで手紙を出したのだった。
ふう・18歳の初冬。
1970年・正月、高岡さんから長い返信と「きざはし」第5号が届く。
ここにも『風の彫像』が載っている。
「詩学」に送ったものに、更に大幅に手を入れたから、
もう一度 読んで欲しいとの高岡さんの言葉とともに。
同じ頃、「詩学」 昭和44年12月号 にも高岡さんの詩・『貌』が選ばれて掲載されている。
選者たちの評価もすごく高かった。
でも、この二篇の詩を残して「詩学」への投稿はなくなった。
彼のくれた手紙には就職して名古屋へ行くと・・あったから
詩はもう書かれないのかと長いあいだ思っていた。
------------------------------------------------------------------------------------------
2014年5月、あの手紙以降、高岡さんはどうしたのかと思い至って。
・・・検索。
彼ほどの才能。
いた!
現代詩文庫190 高岡修詩集
巻末の詩人のエッセイ 『遠い時間からの手紙』が、この時代のことを書いていて、
これだけで、私は震えている、泣いている。
高岡修 詩人である。
種村季弘の詩論集 /老眼乱読 [古本-詩]
ぼくの本棚から・・。
ナンセンスなのか。
詩人なのか。
どもりの少女誘拐者---は、誰。
ナンセンス詩人の肖像 種村 季弘 1969年 竹内書店
アディナタ。グロッソラリー。エドワード・リア。ポエジア・アルファベティカ。
ルイス・キャロル。Ch・モルゲンシュテルン。Ch・Dグラッペ。ハンス・アルプ。・・・・・
ナンセンス詩アンソロジー。
あべこべとは-------センスの倒錯である。
長谷川龍生の詩集 / 老眼乱読 [古本-詩]
ぼくの本棚から・・・。
「は」行の詩人。
は・・長谷川 龍生。
現代詩文庫18 長谷川龍生詩集 1969年 思潮社
現代詩文庫116 新選 長谷川龍生詩集 1979年 思潮社
現代詩文庫の若い番号の詩集と、さらに10年後、
新選現代詩文庫にも収録される詩集、詩篇をもつ詩人。
・・・長谷川 龍生。
堀川正美の詩集 / 老眼乱読 [古本-詩]
ぼくの本棚から・・。
「は」行の詩人。
ほ・・・堀川 正美。
現代詩文庫29 堀川正美詩集 1970年 思潮社
枯れる瑠璃玉・詩集1963-1970 堀川 正美 1970年 思潮社
同じく1970年に発行された二冊。
現代詩文庫29には『太平洋』 詩集1950-1962 のほとんどが、
そしてその後の詩篇は『枯れる瑠璃玉』に収められた形。
この二冊で堀川正美のこの時点までの詩業が網羅される。
三木卓の詩集 / 老眼乱読 [古本-詩]
ぼくの本棚から・・・。
「ま」行の詩人。
み・・・三木 卓。
現代詩文庫44 三木卓詩集 1971年 思潮社
詩の言葉・詩の時代 三木 卓 1971年 晶文社
星のカンタータ 三木 卓 1975年 角川文庫
三木 卓の、詩集と詩論集そして童話。
それぞれの本が語る・・・。
安水稔和の詩集 / 老眼乱読 [古本-詩]
ぼくの本棚から・・。
「や」行の詩人。
や・・・安水 稔和。
現代詩文庫21 安水稔和詩集 1969年 思潮社
-------------------------------------------------------------------------
泥田かな。
ひらたい今日の
アスファルト
ひと蹴りすれば
あれ
泥田かな。
----------------------------------------------------------------------
安水の詩・・・。
数十年を経てもこのリフレインが頭から離れない。
吉増剛造の詩集 / 老眼乱読 [古本-詩]
ぼくの本棚から・・。
「や」行の詩人。
よ・・・吉増 剛造。
現代詩文庫41 吉増剛造詩集 1971年 思潮社
彼の詩は詩集で読むより、
『現代詩手帳』などの雑誌で読むことのほうが多かった。
この時代、いちばん活発に活動していた詩人のひとり。
吉行理恵の詩集 / 老眼乱読 [古本-詩]
ぼくの本棚から・・。
「や」行の詩人、再び。
よ・・吉行 理恵。
吉行理恵詩集 吉行 理恵 1970年 晶文社
吉行理恵の処女詩集からこの時点・1970年までの詩篇をまとめた詩集。
『青い部屋』 『幻影』 『夢の中で』 とそれ以後の『詩篇』。
そして詩人のもっとも愛読した二人の詩人についての二つの散文。
「立原道造について」 「萩原朔太郎にあずけた猫」。
牧羊子の人生受難詩集 / 老眼乱読 [古本-詩]
ぼくの本棚から・・・。
「ま」行の詩人。
ま・・・牧 羊子。
〈 現代女性詩人叢書4 〉
人生受難詩集 牧 羊子 1971年 山梨シルクセンター出版部
人生受難詩集って・・・。
受難の人生・・。
人生は受難・・。
詩集にするのか・・・。
マルドロールの歌 / 老眼乱読 [古本-詩]
ぼくの本棚から・・・。
若いときに読む詩なのか。
老人になってから読める詩なのか。
マルドロールの歌。
40年以上も書棚にあって、まだ読んでいない、読めていない。
マルドロールの歌 ロートレアモン 栗田 勇・訳 1968年 現代思潮社
ロートレアモン。
なかなかの難物・・・。