ふじたふう 十九歳の詩集 [ふじたふう詩集]
十八歳から二十歳にかけて書いた詩がある。
筆名は ふじた ふう。
秋亜綺羅氏は、同い年の詩人。
僕らの時代のヒーロー。
彼が長い沈黙を破って詩を書き出した。
仙台で・・。
震災の前後からである。
彼に触発されて、六十の手習いで再び詩を書く前に、
なりわいとしてきた、エンジニアとしての検証。
自分の詩の技倆、ことばのテクニック、レトリックの新しさ古さ等を・・。
十九歳の時代の詩を皆さんにさらしてみます。
詩はテクニカルに分析できるのか?
アラ還の老人が10代の感性を超えることができるのか?
読むに耐えないものが出てくると思いますので、どうぞ言ってください。
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『花粉血祭』
坂を登るときかすかにゆらめいた鶏の首
いつも通るたそがれへの道坂を登る逆磔
の処女五寸釘打ち込む老婆の素足の苦痛
白いサイレン達叫びに振り返る一滴のし
たたり羊水午後の渦巻を止めているむき
だしの太ももと逆さ黒髪照射する傷心お
さえてよろめく魔女たちの一日煮つづけ
た三と二分の一の薔薇をあげましょうよ
だっくりぼっくり長い坂赤土黒土だんだらの
月の輪熊はどこから出るのかたちどまる 尾な
し狐の沈黙に役に立たない錆びた銃浮かれ女
たちの花粉降る小さな鞭あと刻む処刑場の舞
踏者めぐる花唄もどきの逆磔処女もどき塩化
物飲み込む瞳の成長する新鮮な恐怖と太
陽を逆しまに見てしまう今日の彼女は花びら
のような死化粧をしてはりつけ
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(一九七一年の僕の手帖より 『紫斑花弁』連作のうち)
たて書きのことばを横書きにするだけで、印象はかなり異なるものです。
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